各種の目覚まし時計やおこし太郎起床術を駆使したところで、そもそもが寝不足ではすっきりと目覚めることはできません。だとすれば、やはり、いかに起きるかばかりではなく、いかに寝付きをよくするか、いかに上質な睡眠をとるかなどを考える必要もありそうです。

 先日発売された新書「『脳力』を伸ばす!快適睡眠術」(PHP新書。以下「快適睡眠術」)では、医師の吉田たかよし氏が睡眠や睡眠障害に関する医学的な解説のほか、より良い睡眠をとるためのテクニックの紹介もいくつか行なっています。その中でも特に目を惹いたのは、普段の生活に習慣として取り入れやすそうな次の3つです。

  • 夕方以降はカフェインを控える
  • 夜はパソコンやゲームを控える
  • ウィークエンド・シエスタ

 まず、カフェインに覚醒効果があることは周知の通りです。しかし、その効果の継続時間は意外と長く、5時間から7時間も続くといいます。つまり、紅茶やコーヒー、栄養ドリンクといったカフェイン入りの飲み物を飲むと、それから5時間から7時間もの間、覚醒効果が続くということです。夜9時にコーヒーを飲ん場合は、最長で午前4時まで続くことになります。生活パターンにもよりますが、これでは寝つきが悪くなってしまうでしょう。23時に就寝するのであれば18時以降、できれば16時以降には、カフェインの入った飲み物を採らないようにしたほうが良さそうです。

 次に、パソコンやゲームについてですが、これは、睡眠を促すホルモン「メラトニン」に関連したテクニックです。「快適睡眠術」によると、質の良い眠りにつくためには、就寝前に2時間以上、メラトニンが分泌されるようにしなければならないといいます。そして、メラトニンは目に入る光の量が500ルクス以下になると脳の松果体という部分から分泌され始めるそうです。つまり、質の良い眠りにつくためには、睡眠前の2時間以上の間、目に500ルクス以上の光が入らないようにする必要があるということです。

 しかし、パソコンのモニタは、製品や設定によるものの、1,000~1,500ルクスの明るさになるといいます。そのため、眠りたい時間の2時間前以降にパソコンのモニタに向かうとメラトニンの分泌が阻害され、質の良い眠りにつくことができなくなってしまうそうです。たしかに、夜中にパソコンに向かっていると、ついつい夜更かししてしまうことが少なくありません。就寝前にはできるだけパソコンに向かわないようにしたほうが良いのかもしれません。

 最後の「ウィークエンド・シエスタ」も、メラトニンに関連したテクニックです。前述の通り、メラトニンは寝たい時間の2時間以上前から分泌されるようにしなければいけません。しかし、メラトニンは、朝に目に光が入ってその分泌が止まったあと、15時間ほど経たないと再び分泌され始めないといいます。つまり、寝る前にメラトニンが分泌されるようにするには、寝たい時間の17時間前以前には光を浴びてメラトニンの分泌を止めなければいけないということです。

 しかし、週末に寝不足を解消しようと遅くまで寝ていると、メラトニンの分泌が止まる時間が遅れ、それにあわせて再び分泌され始める時間も遅くなってしまいます。このリズムの崩れを直すのには最大で4日ほどかかり、場合によっては、月曜日から木曜日までのほぼ1週間、リズムが崩れたままになってしまうといいます。

 これを避けるには、「早寝」していつもと同じ時間に起きるという方法もあるそうですが、寝不足のときに限ってなかなか早く眠れなかったりするものです。

 そこで「快適睡眠術」で薦められているのが、ウィークエンド・シエスタです。これは、休日にいつもと同じ時間に起きたあと、光を浴びてから、もう一度寝てしまうという方法です。一種の「二度寝」ですが、一度目に光を入れているのでメラトニンの分泌は止まります。そのため、そこからもう一度寝たとしても、いつもと同じ時間に眠くなるそうです。

 結局、睡眠リズムを整えるには、その日の夕方以降だけでなく、週末をいかに過ごすかもポイントになるということなのかもしれません。

 「快適睡眠術」では、上記以外にも、自分の睡眠サイクルを知るために「睡眠日記」をつけることなどが推奨されています。似たようなことを早起き日記で行なうには日記の本文をうまく利用するといった工夫が必要ですが、これも参考になるはずです。

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『脳力』を伸ばす!快適睡眠術

吉田たかよし / PHP新書

(2006/06/11)

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