20120104(水) <<前日 | 翌日>>

起床時刻: 04時07分[いま起きた]ボタンで記録されました。

今日の気分(本文)

 おはようございます
 通常に戻るからにはななないから始めないとね

ななない物語

〔木〕

 夜の竹林を抜けて、雑木林に入ろうとするときでした。

「ほーほ。ほーほ。おや、猫じゃないか。ほー」

「あなたは誰?」

 僕は足をとめて、声のしたほうを見上げました。大きな木の上からです。猫のようで猫でない、ふしぎなお顔がこちらを見下ろしていました。

「わしはフクロウ」

「あなたも夜でも周りがよく見えるのですか?」

「見えるよ」

 もしかしたら「フクロウ」という空飛びねこなのかもしれない、僕はそう思いました。

「あなたは空飛びねこですか?」

「ほーほ、君はフクロウを見るのは初めてかい? 家で飼われていたんだな。ワシはもともと鳥だから、羽もほら、こんなに大きいぞ。それより、よく空飛びねこを知っているね、ほーう」

フクロウさんは大きく翼をひろげて見せてくれました。じっとしていたときの五倍も大きく見えます。その大きさにびっくりした僕のしっぽの先は、ぽふぽふにふくらみ、思わず体もすくんでしまいました。

「おやごめんよ、驚かすつもりじゃなかったんだが、まあよくご覧。鳥の翼は体の重さを持ち上げるからこんだけの大きさを必要とするのじゃ」

「にゃん」

僕は少し落ち着きはしたものの、しっぽの先はなかなか元に戻らず、それがフクロウさんに失礼なのではないかと、そっと前足の後ろにまわして隠してみたりしたのでした。

「空飛びねこに会ったのかい? ほう」

「はい」

「翼はこんなには大きくなかっただろう? あいつらには実体がないからな。最初はそれがわからないから、縄張りに入り込んだ空飛びねこに襲いかかろうとして、体を突き抜けたことが何度かあったよ。ほーほほ」

「空飛びねこはたくさんいるのですか?」

「さあ、どうかな。ワシが知っているのは三匹じゃ。ワシの縄張りに入り込むのは、この先の農家で生まれたチビどもが、生まれた場所を見に来る時だけだからな」

僕は走りながら考えていたことをフクロウさんにききました。

「だれでも空飛びねこになれるのですか?」

「フクロウにそんなこときかれてもなあ、ほーほ。でも時折ここに迷い込む普通の猫どもはただの猫だな、おまえさんみたいに喋りかけたりしないし、まして空飛びねこなんか見たこともないんじゃないかな。ほーほ」

「空飛びねこが見えないただの猫?」

「くわしいこた知らんが、猫にも種類があるらしいぞ」

「種類?」

「先祖に修行を積んだ血が入っていれば空飛びねこになれるし、入っていなければただの猫だな。たぶん」

「だれがそれを知っているのですか? 僕、知りたいんです。どうすればいいか」

「そりゃ空飛びねこに会うしかないだろう? ほーほ。このあたりじゃさっき話した三匹ぐらいで、それも母親猫がいなくなってからは滅多に来なくなったから、もっと空飛びねこが集まるところに行きたまえよ」

「空飛びねこが集まるところ? 空飛びねこも集会をするのですか?」

僕は目を輝かせていたと思います。フクロウさんに失礼なしっぽの先をふりあげて、フクロウさんのいる木に爪をかけました。

「こらこら、登ってきたら降りられなくなるぞ。前にそんな普通の猫がいてな、丸一日降りられなかった。そのうちうっかり枝先から落ちて、無事に逃げ帰って行ったがな。はーはっは、いやほーほ」

「空飛びねこの集会に行きたいです」

「そうか、うーむ、じゃあもっと縄張りの広いやつを紹介するから、彼のところに行くがいい。あの橋を渡ってまっすぐ行くと古いお稲荷さんがある。そのお稲荷さんの裏はちいさな池があってな、そこに今なら渡り鳥がいるはずじゃ。遠い空を旅する奴らじゃ、何か知っているかもしれんよ」

僕はもういてもたってもいられなくなりました。

「フクロウさん、ありがとうございました。今からそこへ行ってみます」

「渡り鳥は夜行性じゃないからな、夜が明けて明るくなってから、驚かさないように声をかけながら近づくんだぞ。飛び立ってしまったらそのままどこかに行ってしまうからな。さあ気をつけておゆき。ほーほほほ」

「はい、僕……、僕、もしも空飛びねこになれたら、きっとフクロウさんに会いに来ます。それまでどうかお元気で。さようなら」

「さよなら、気長に待っているよ。ほーほ」

 空飛びねこの集会。
 僕の足取りは一つの目的ができたことで、とても軽くなったのでした。



今年最初のななないだよ
皆さんの足取りも軽くなりますように

ねこのり拜

コメント

(コメントはまだありません)

コメントする

名前: